先月末に日本政策金融公庫総合研究所より、平成28年12月時における「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果が公表されました(日本政策金融公庫取引先を対象)。
【雇用について】
平成28年12月時点において、正社員が「不足」と回答した企業が全業種合計の約50%であり、前年同期(約45%)より約5ポイント上昇しています。ちなみに「適正」と回答した企業が約42%、「過剰」が約7%と回答しています。
「不足」と回答した企業の業種別では、建設業(68%)、情報通信業(67%)、運送業(65%)が上位を占めています。
「人手不足の影響」については、「売上機会の逸失(約34%)」「残業代、外注費等のコストが増加し、利益減少(約30%」「納期の長期化、遅延の発生(約13%)」となっています。
人手不足の影響に対して、どう対応しているかと調べてみますと「従業員の多能工化(約44%」「残業を増加(約40%」「業務の一部を外注化(約33%」となっています。
平成28年に正社員数を「増加」させた企業の割合が約28%、「減少」させた企業の割合が約20%となっています。平成27年実績と比較しますと、「増加」は約2ポイント低下、「減少」は約2ポイント上昇となっています。
一方、「増加」した企業の約50%、「減少」した企業の約65%が正社員「不足」と回答しており、必要な従業員を雇用できていない企業が多く存在していることがわかります。
従業員が「増加」した理由として、「将来の人手不足への備え(約50%」「技能継承のため(約28%)」と回答しており、長期的な人材育成確保に取り組む姿勢も見受けられます。ちなみに、受注販売の増加と回答した企業も約30%ありました。
一方、従業員が「減少」した理由として、「転職者の補充人員を募集したが、採用できず」と回答した企業が約50%占めており、中小企業の人材確保の競争の厳しさが感じられます。
【賃金について】
平成28年に正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業の割合が約50%、平成27年実績と比べると「上昇」は約1ポイント低下していますが、引き続き約半数の企業が正社員の給与水準を引き上げてます。
給与水準「上昇」の背景は、「自社の改善(約40%)」「採用が困難(約18%)」となっています。
業種別でみますと「自社の改善」と回答した企業割合の上位は、「業務用機械」「情報通信業」「建設業」と続き、「採用が困難」と回答した企業割合の上位は、「宿泊・飲食サービス業」となっています。
平成29年の見通しとして「上昇」と回答した企業が約40%あるが、平成28年実績よりも約5ポイント低下しています。ちなみに「ほとんど変わらない」と回答した企業も約40%となっています。
詳細は、日本政策金融公庫総合研究所の資料をご覧ください。